患者さんから教えて貰った大切なこと
5期6期と続けて受講している理学療法士からの報告です。
素晴らしい感性ですよ。
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脳梗塞(軽度左片麻痺)、慢性心不全(ペースメーカー)、腎不全の女性の方を担当した時のことです。
この方は、もともとの心不全の影響で歩く機会が少なく軽度の麻痺でも歩けない状態にあった。
頻繁に動悸の訴えがありリハビリがなかなか進まない状態に合った。
この方も主担当ではないので初回の介入が全てだと思い、心電図や1ヶ月の血圧などの変動などをカルテで確認し、著明な異常がないことを確認し治療に臨んだ。
ある程度の会話のなかで心臓の話になり、これまでの1ヶ月でおかしなことはなかったから大丈夫であると伝えた。
ただ、私はデータはデータでしかないことを、明鏡塾の関係の中から何故か学んでおり、内心いつ何があってもおかしくないという怖さも持っていた。
そのため脈や血圧を測るときに数値をとるだけでなく手で触れ、聴く(明鏡塾のワーク)を行った。
体の危険な気配がないかを聴いていた。
数値上も自分の肌で感じるものも安全であることを確認しながらの訓練となった。
その時にその患者さんが「あなたみたいに手で触れて確かめてやってくれる人は初めてよ。私の話を本当に聞いてくれるし。入院してから私の話をちゃんと分かってるのって思うこともたくさんあった。正直に言うと看護師さんや若いリハビリの人にこうしなきゃだめと言われると怖いのよ」と話してくださった。
私としては手で触れて聴くは無意識で行っていたことであるから、この取り組みの姿勢がどれほど大切なことなのかを教わった気がした。
また若い人にこうしなきゃだめと言われるのが怖いと仰っていたが、本当は「怖い」ではなく「非礼」であると伝えているように思った。
患者さんは私たち若い世代の何倍もの人生を生きてこられた先人であることを決して忘れてはならない。
その人の生きてこられた道にどれほどの笑顔と涙があったのかを、汲み取れる自分にならないといけない。
医療職として、また人として大切なことをこの患者さんから学ばせて頂いた。