人が持っている力
「46歳の男性患者さんで、S状結腸癌、肝臓、肺、骨転移がある方。
今回呼吸困難感と咳嗽増悪にて緊急入院したんですが、会話の刺激で咳込んでしまいます。
咳込んだときに摩ってしまいがちですが、後ろから両手で彼の肺の感じ呼吸を感じるように背中から側胸部にかけてを包み込むように触れてみたところ、数秒ですっと咳が落ち着いていきました。
これには私も少々...いやだいぶ驚きましたが、少しして、彼がこれって普通の手ですよね?って聞いてくるので、思わず笑ってしまいました。
普通の手ですねと返すと、彼も笑いながら「そうやって背中を触ってもらうと安心する感じがあって落ち着きますね」と話していました。
薬よりも遥かに早くよく効いて、患者さんが安心できる、手当てとよく言いますが、手がもたらすもの、人が持っている力、私たちに出来ることを私たち自身が見くびってはいけないなと気づかせてもらいました。」
「明鏡塾」に5期から現在まで再受講している、認定看護師の体験である。
もちろん、日々色々な体験がある。
その彼女が「結局、患者さんとの関わりが、色々な事を教えてくれていると思います。本当に患者さんに感謝しかありません」と話してくれた。
こういう気遣いを持つ看護師さんが担当なら、患者さんもご家族も幸せだ。
彼女は「人の持っている力」と書いている。
その通り、人の持つ力だ。
もっと言えば、多分全ての生命体なら持っている力なのではないかと思う。
しかし、しかしだ。
残念ながら、持っている力だから、誰にでも使えるのかというとそうではない。
どう出せるのかを訓練しなければ、それは出て来ない。
もしかしたら、訓練しても出て来ないかもしれない。
それは「スキルではない」からだ。
その人の精神が「その状態」を導き出せるようにレベルでなければ、そうはならないのだ。
もちろん、これはオカルトでもスピリチャル系の話ではない。
自分自身の意識の問題なのだ。
そこを「明鏡塾」で徹底的に訓練しているから、彼女にとって「人が持っている力」であり、「見くびってはいけない」という気付きなのだ。