一寸はましな手に
「明鏡塾」には、看護師もいる。
この看護師は、緩和ケアの病院から、最近他の病院に移った。
それは、「看護師」としての仕事をもっともっと訓練し、患者さんの笑顔を、ご家族の笑顔を見たいという思いからだ。
その看護師からの報告だ。
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がんの腰椎転移による腰痛と、悪性腸腰筋症候群による痛みがある女性の患者さんが、朝ナースコールを押して
「朝8時頃から痛くて薬(麻薬の頓服)を使ったんですけど、良くならなくて、体勢変えたりあっためたりしてみてるんだけど、全然よくならないの。どうしたらいいでしょうか」と言いました。
話を聞いたうえで、「まずもう一度麻薬の頓用を飲んでみましょう」と声をかけ内服してもらうと5分もせずに「よくなってきた」と話しました。
そう話す彼女の左臀部を右手で触れました。
そうすると「何、この気持ちいい手は」と驚いた顔で言ってくれました。
しばらくそこに手を当てながら彼女の家族や友人の話を聞いていると「だいぶ楽になりました」と言っていました。
彼女は「手当は基本よね。触られて気持ちいい人と気持ちよくない人がいるのよね」と話していました。
少しは、自分の手がマシになってきているのだと感じました。