希望が身体に影響を与えた
今回臨床で、今まででは信じられないことがあったので報告させていただきます。
脳出血を煩い左半身の麻痺が残る状態で自宅療養されている利用者さんなのですが、以前から「昔お世話になった病院に歩いていきたい。そしてお世話になった先生方にお礼を言いたい。」という希望があり、今回がそのタイミングだと思い、シルバーカーを使って一緒に病院まで伺いました。
いつもであれば、歩き出して10分もすれば歩くスピードが落ちたり、足腰に疲労を訴えられたり、足の緊張が高まってしまうのですが、今回は終始スピードも変わらず普段の2倍以上の距離を歩かれました。
その後、病院で昔お世話になった先生方と再会され家に戻った後、足の状態を調べると足の緊張や腫れが歩く前よりずっと良くなっていました。
医療従事者の視点でみると「足を過剰に使うと足の緊張が高まってしまうからどれだけ歩く時に足の緊張を出さないようにアドバイスしていくか」ということを考えたり「いつもより歩いたから足の状態は悪くなっているに違いない」とこちらの知識や偏見を押し付けてしまうことが多々あります。
しかし、今回の事例では利用者さん自身の「希望を叶えたい」という氣持ちが身体にも何らかの作用を及ぼしたのではないかと感じざるをえませんでした。
今回の結果は、利用者さん自身の「希望を叶えたい」という想いがあってのことだと思いますが、「利用者さんの想いに適切に応えられているだろうか、むしろ自分のささいな行動や態度や声掛けで、利用者さんの想いや自己治癒能力を阻害していたのではないか」という事例の方が今となっては多かったように思います。
今回は、結果にたまたま僕がいあわせただけかもしれません。
しかし今後は、その結果を少しでも必然にしていけるように、明鏡塾で学んでいる関係性(触れる、聴く、伝える、感じる)を徹底的に鍛え上げ、自分が関わることで患者さんの自己治癒能力を引き出すことのできる医療従事者を目指す所存です。