患者さんへの言葉
先日の臨床で、面白いことが起こりましたので報告させていただきます。
過去に脳梗塞を患って自宅で生活していた患者さんで、左股関節の痛みと足のむくみがひどかった。
そのため、足の動きが悪くなり立ち上がりに時間がかかっていた。
1ヶ月くらいの介入で、左股関節の痛みはなくなり、立ち上がりはスムーズになった。
そして、当初は履いていた靴も窮屈だったが、足のむくみがほぼなくなったことで靴にも余裕が出てきた。
先日の介入の時に、話をしていて「今後何をしたいのか。」ということを聴いた方がいいのではないかと感じた。
そのタイミングで「○○さん、今後何かしたいことはありますか。」と聴いた。
そしたら、「孫とキャッチボールがしたい。」と答えてくれた。
昔から野球が得意な方で、長い間草野球もしていたという背景がある。
そして、その質問への返答は即答だった。
そのため、少し思い切って両膝立ちの姿勢からゴムボールでキャッチボールをした。
そうすると、みるみる顔が良くなり姿勢が伸びた。
最後に、「とても楽しかった。」と答えてくれた。
この日は、どんな体幹トレーニングをした時よりも綺麗な姿勢だった。
そして、次来た時も治療効果はいつよりも持続していた。
ついつい、リハビリとなると「○○筋を鍛える」と考えてしまったりする。
そうではなく、本来のリハビリというのはこの患者さんにしたことのように思える。
この体験を通じて改めて「リハビリ」ということを考えなければと痛感しました。
日野先生も書いて下さりましたが、患者さんに対して何を喋るか。
そのタイミングというのは、その場で決まるものではないかと思います。
振り返れば、この患者さんに対して確かに身体の動きは良くなった。
で、その次に?というところを確認するタイミングだったように思います。
しかし、それは後で考えればそうなるだけであって実際の僕の中では反応として質問したに過ぎません。
その場で「向かい合う」ということで、言葉は選ばれるのではないでしょうか。